百色日記 百色日記 SANPO

百色なひと File.01 [2/2] 2018.03.15

手しごとと ともにある暮らし 後編

楓美さん │ モデル・手芸家

生活に寄り添うマイルール

―今日はお気に入りの一冊を持ってきてくださったんですよね

女優の沢村貞子さんが書いたエッセイ「私の台所」です。女優業の傍ら、家事を楽しむ様子が生き生きとつづられていて、古い本ですがまったく古さを感じさせず、新鮮な発見があります。洋平さんに教えてもらって手に取ってから、今までにもう何度も読み返しているお気に入り。美しい言葉づかいも魅力です。
わたし自身もできるだけ美しい言葉をつかうよう心がけています。言葉だけではなく、仕草や振る舞いも美しくありたいですね。子どもはなんでも真似するので(笑)普段のちょっとしたことでも、例えば頬杖をついたり、ものをポイッと投げてしまうとか、ついついやってしまいそうになるけれど、気を付けたいですね。

―こだわりのライフスタイルは?

早起きはもうずっと習慣になっています。最近は朝5時には起きています。玄米やお野菜を中心に朝食をしっかり摂って、夜は炭水化物を控え、食事量も控えめに。朝起きたときにおなかがすいていると、朝ごはんがとっても美味しいんですよ。
あと、わたしはとにかく歩くことが大好きで、妊娠中でも1日1万歩くらいは歩いていました。散歩が好きなんです。街の風景をみながら、ずっと歩いていられます。いつでも散歩できるようにと靴は歩きやすいものを選んでいます。今日の靴は岡山のてのひらワークスさんに作ってもらったもので、足の型を取ってから作る完全オーダーメイド。ひとつひとつ丁寧に作られていてとっても歩きやすいです。足の靴に限らず、身に着けるものはできるだけ手しごとのもの、作り手の想いや物語が感じられるものを選ぶようにしています。丁寧なしごとに敬意を払って、大切に使い続けたい。丁寧に作られたものたちから想いを受け取りながら、私自身も家族と一緒に「暮らし」をひとつひとつ、丁寧に作り上げていきたいです。

手しごととともにある暮らし

―高松ではどんな子育てを?

子どもには土をちゃんと触って欲しいなと思っていて、庭で家庭菜園を始めました。小さな菜園ですが、家族4人に十分な量が収穫できます。今年はキュウリに、トマト、カリフラワーが採れました。野菜の育て方はご近所さんが教えてくれて。ご近所さんには本当に助けられています。「大変なことがあったらいつでも言ってね」と声をかけていただいたり、ゴミ捨てを手伝っていただいたり。近所の小学生がうちに遊びに来ることもよくあります。あたたかいご近所づきあいが心地良くて、住んでよかったなって思います。野菜づくりだけでなく、暮らしに必要なものをできるだけ手作りしたいと思っていて、家の内装も部分的にですが使いやすいように、自分たちで少しずつ直しています。

―もちろん手芸も?

最近はほとんど子ども用のものを作っています。上の娘を妊娠中にはお宮参り用の真っ白なセレモニードレスを作りました。赤ちゃんを包むおくるみは1年中使えるように、オーガニックコットンを選び、ひたすらにコツコツと編んで。でも赤ちゃんをくるめる大判サイズにするとなるとなかなか大変。ラストスパートをかけて仕上げて、なんとか出産に間に合いました(笑)赤ちゃんをくるむだけではなく、少し肌寒いときに掛けてあげるなど、1枚あるとなにかと便利で重宝しています。手芸好きはおそらく母の影響です。母はとても器用な人で、私のためにたくさん服を作ってくれました。そんな母と暮らす中で、自然と手を動かし、ものを作ることが好きになっていったように思います。これからも、子どもにはなるべく手作りのものを用意したいですね。

INTERVIEWEE

楓美 fumi | モデル・手芸家

1987.5.30生まれ(双子座・B型)

雑誌、広告でのモデル活動のかたわら、手芸家としても活躍。麻糸やコットン糸を用いたかぎ針アクセサリーや小物をはじめ、旅先で見つけた生地を用いた布小物などを制作。著作に『楓美のかぎ針で編む、かわいいもの』(2009.9.28 発売) 家族で香川県高松市に移住し、娘と息子を育てながら暮らしている。

PICK UP