百色なもの File.02 2018.03.19
アンティークの力を借りてつくる
世界に一冊だけのリングピロー
リングピロー │ 吉田ちかげさん
大切な人と共に歩むことを決めたら、愛をくれた人たちと忘れられない時間を共有する。永遠の愛の証に、2人の時間を紡ぐリングを選ぶ。唯一無二な出来事だからこそ、そこにはスペシャルなストーリーがつまっています。工場を改装しての結婚式場づくりにはじまり、企画、演出、テーブルデザイン…と文字どおり「DIY結婚式」を行ったアートディレクター/グラフィックデザイナーの吉田ちかげさんに、とっておきのアイデアをシェアしてもらいました。
会場は、山梨県富士川町にある今はもう使われなくなった築50年のレトロな倉庫。この場所を自分たちで改装して結婚式の会場にしました。
お金をかければ手に入る贅沢なことではなくて、使われなくなった資源にアイデアというスパイスをかけて、新しい価値を生み出す。それが「わたしたちらしい」結婚式という「表現」だと思ったのです。
たった一日の特別な日に、来場するみんなの手によって自分たちでつくった場所が魔法にかけられていく。一瞬一瞬の輝きだけではなく、その前後のストーリーごと大切な思い出にしたいという想いを込めた「DIY結婚式」。
そんなコンセプトにぴったりだったのが、このリングピローのアイデアです。
このリングピローは本物の本でできています。
ロンドンで見つけた古本の中を四角く切り抜き、中にクッションを入れて、
そこに刺繍で夫婦のイニシャルを入れました。
本の扉部分には、こう記してあります。
“The new chapter in our life is about begin.”
(私たちの新しい章が始まりました)
「夫婦で新しい章を作っていく」という、本をリングピローに見立てたこのアイデアはとても気に入っているのですが、ステキだなといわゆるジャケ買いした古本の表紙をよくよく見てみると、“Dangerous Boy”というタイトルが。気づいた時には二人で笑ってしまいました。その後、私たち夫婦に息子ができて、今はそのBoyに振り回される毎日なのですが(笑)
古本でリングピローを作る際には、本のタイトルチェックをお忘れなく!
古本のようなヴィンテージアイテムが持つエイジングの深い味わいは、時間だけが生み出せる積み重ねた歴史の物語。今から新しく作ろうと思っても難しいものですよね。だったら、まずは身近に古いものがないか探してみましょう。欲しいものを新しいものから探す…ではなく、目線を少し変えれば古いものがオンリーワンの宝物に変身することだってたくさんあるはず!古本屋さんで素敵な一冊を見つけたら、リングケースやアクセサリーBOXにDIYしてしまうというアイデアもオススメ。自分で作ると完成するまでの時間や想いも、歴史あるものに閉じ込めることができます。ずっと大切にしたい、自分たちの手でつくる物語のあるDIYアイテムを取り入れてみてはいかがでしょうか。何気ない日常にも、特別な日にも。もっと、ずっと、愛おしい物語が生まれていきます。
INTERVIEWEE
吉田ちかげ | Art Director/Designer
1980.12.12生まれ(射手座)
桑沢デザイン研究所卒業後、2006年に独立。グラフィック、WEB、パッケージのデザイン制作から、イベントやパーティー、ディスプレイの空間演出なども手がけている。自身のイラストレーションや写真をミックスさせた独特のテイストで仕事は多岐に渡っている。特に女性向けのデザインやファンタジーな世界観を創り上げるのが得意。 クリエイティブチームSELF所属。 幼少期は北海道、青森の雪国で育ち12月生まれなことから夏よりも冬が好き。 趣味は旅、食、写真、ゲーム。現在やんちゃな息子の子育てと仕事の両立に奮闘中。